2016年の秋、マルタからミラノへ向かっていた。
トルコ人の友達2人とオランダ人の友達のところへ遊びに行く約束をして、チケットも購入しいたけれど、手違いでビザが受け取れなくて私だけ行くことができなかった。
結局、受け取れたのは友達が旅立ったあとだったので、すぐにチケットを取ってトルコ人の友達一人とミラノで待ち合わせをし、1週間かけてローマまで旅することになった。
(このイタリア旅行が初めて一人で自分で手配した海外旅行なのでとにかく下調べが足りてなかった。今思えば友達と同じところに泊まれば良かった。)
先に友人がミラノ入りしていたので、私が到着後、宿に荷物置いてから合流することに。
当時、simフリーではないiPhoneを使っていたのでwi-fiスポットを探しながら、まずは宿泊先のエアビーへ。
が、ここで電車を間違えてしまいそこから3時間迷子になる。
小雨が降ってきて、充電も一桁になり、wi-fiスポットも見当たらず、野宿を覚悟しながら彷徨った。
結局、オフラインでも見れるGoogleマップに助けられ何とか宿に辿り着けた。
迷子になってしまったこと、充電がない事を友達に説明し、とりあえずミラノ駅で会うことになった。
しかし、またもやハプニング。この宿からミラノ駅までが遠くて、路面電車も駅では切符を買えないとのことで乗れなくて、迷うなら進まないと!と、とにかく歩き、走っていたらタクシー乗り場を見つけてタクシーを使った。
やっとのことで到着したものの、友達と会う予定の時間を過ぎてしまい、焦りながら待ち合わせ場所に向かうと友達はずっと待っていてくれた。完全に自分の下調べ不足のせいで3時間の迷子の後に、なかなか辿り着かないミラノ駅。友達は心配してくれていて、思いっきりハグしてくれて少し泣いてしまった。迷惑をかけてしまって本当に反省した。
マックに行き、夜ご飯を食べながら次の日からの事を少し決め(宿は前日に取るスタイル)、明日も迷わないように明日の待ち合わせ場所に行って予習もしてくれた。宿までの電車での帰り方も一緒に調べてくれた。明日も同じようにここまでくるようにねって。本当に優しさが染みたなああ。
この日は人生の中でもトップレベルで長い長い一日だった。
お互いそれぞれの宿へ帰り、次の日無事に予定通り合流できた私たちはミラノからロミオとジュリエットの街であるベローナへ電車で向かった。
無事に合流出来たこと、電車に乗れたこと。向かい合う席に座り、やっとホッとできたところで友達はリュックの中から袋を取り出した。その袋には2つのりんごとマンダリンみかんが数個入っていて、私の分だよってりんごをひとつ差し出してくれた。
ハッとした。言い訳かもしれないけど前日の出来事もあり、私にはそこまで考える余裕もなくて。すごくすごく嬉しくて。しかも重いのに。
ビザが予定通り受け取れていたら。ミラノに着いてからスムーズに宿にスムーズに辿り着けていたら。ミラノ駅まで簡単に行けていたら。感じ方は違かったのかもしれない。
この友達は私を喜ばせようとか、そういうのじゃなく、こういうことが当たり前にできる人で。スムーズに旅が進んでいたとしても彼女は同じところでりんごを差し出してくれたと思う。
けれど、感じ方が全然違かったと思う。嬉しいし有難いけど、ここまで価値観を変えてはなかったと思う。
初めての国に来て、自分の身は自分で守らなくてはいけなくて。海外旅行は自分の事だけで精一杯でどうしても余裕を失う。人の事まで気にするって出来そうで出来ないことだと思う。旅行中って荷物増やしたくないしね。
私もこういうことが当たり前にできる人になりたい、と強く思ったし、何年かかったとしてもこういう人になるって決めた。
私はこのひとつのりんごで、こうやって人生って豊かにしていくんだなって学んだ。
初めてクラスに来た友達には必ず声をかけて一緒にご飯食べようって誘ってトルコ料理を振る舞っていたし、誰にでもとにかく優しかった。この時もみかんをくれるときは必ず剥いてあなたの分、って差し出してくれた。
嬉しくて嬉しくて写真を思わず撮った。
この友達とこの広い世界で彼女の思いやりに触れられたこと、友達になれたこと、一緒に旅行出来たことが私の人生の中でもかなり大きい出来事となった。私もこの思いやりを伝染させたい。
何とかなってきた今までの旅行で、甘くみすぎていたこの旅。初めて飛行機から宿、電車全てを自分たちで手配した完全フリー旅行だったからもちろんハプニングはあるわけで。電車でピサに行った後、ローマに向かうはずがまたピサ行きに乗ってしまったり、ローマでM6,6の地震を体験したりと忘れられないイタリア旅エピソードは他にもある。
やはり旅は全部が特別なのだと思う。旅のハプニングは最高のスパイスになる事もこの旅で知った。意味のない事なんてない。
ちなみに、ミラノのトラウマで、日本で困ってそうな外国人観光客を見かけたら絶対に声を掛けるようにしている。どれだけ英語を忘れても、どこに行きたいのかと道を説明できる英語だけは忘れないようにしたい。
あと、どこへ行くにしても宿泊先は立地重視。
ああ、あの時本当にイタリア旅して良かった。
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